ヤカンの水

いつも、台所には水を入れたヤカンを置いています。ポットのお湯が減ったら、この水を使います。
僕の実家は大した家でもないので、家訓などというものは無いのですが、「台所にはいつも水を満たしたヤカンを置いておけ」というのが、母方のじいさんからの言い伝えで、我が家もそれを守っています。
僕のじいさんは山形の貧農出身で、東京へ出て来て職人をはじめたとたん、関東大震災に遭いました。その時に、水の大切さと火事の恐ろしさを身に染みて感じたらしく、じいさんは僕のお袋に「いつでもヤカンには水を満たしておけ」と言っていて、お袋もそれを守っていました。
非常用の水というのはもちろんですが、もしヤカンが転倒するくらいの大地震なら、台所が水浸しになる。火を使っていれば消えるかもしれないし、多少でも台所が燃え広がる確率が減るし、消火するまでの時間稼ぎになるかもしれないから、というのがヤカンに置き水をする理由でした。多少の出火、やけどでも使え、とも言っていました。オマケですがヤカンに水を取り置きしていると、水も美味しくなっています・・・
はっきり言ってマンション住まいではあんまり関係ないかとは思いますが、我が家でははいまだにこれを墨守しています。ヤカンに水を入れるたび、災害のことを思い出すことが出来ますし。
ちなみにこのヤカンは23年前、結婚した時に買ったものです。幸いなことに非常用に使ったことはまだ一度もありません。