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2007/05/13

テレビ

 を東芝の液晶のやつに買い換えて半月あまりになる。

 私はいままでテレビ番組をあんまり見ること無かったけれど、テレビを買い換えてからは深夜に良く見るようになった。ハードディスク付きなので、録画が便利。ハイビジョンも思った以上に奇麗。購入価格は実質14万円台だったので、久しぶりに良い買い物をしたと悦に入っている。

 私は高校卒業後、とりあえず手に職を付けたいと思って専門学校に入っている。学科はオーディオ技術科というところだが、もともとはテレビ関係の技術を教える学科から分科したところなので、ひととおりのテレビ技術を学んだ。

 入学したのは1981年だったが、当時はデジタルテレビ放送のデの字もなく、とにかくアナログテレビの構造を叩き込まれた。
 昔の壊れたテレビをゴミ置き場などで見たことのある人なら分かると思うけれど、とにかく昔のテレビの内部は部品がごちゃごちゃと並んでいてやたら数が多かった。私たちは一年間かけてその回路をほとんど暗記するまで学んで、動作原理を詰め込んだ。修理実習では先生がわざと故障させたテレビをいかに早く修理できるかストップウォッチ片手に試験に臨んだ。

 アナログテレビは確かに古臭い。でもアナログカラーテレビの伝送方式は実はスゴイのである。考案されたのは1953年である。当時の先端技術だったのだ。先端技術であればこそ、それを修理できることはスゴイことで、町の電気屋さんの息子はこぞって専門学校に入ってテレビ修理技術を習得していたのである。

 少々マニアックな話になるが、アナログテレビは、白黒映像は振幅変調(AM)、音声は周波数変調(FM)、色は位相変調(PM)と3つの伝送方式を組み合わせているのである。ブラウン管の電圧に至っては数万ボルトに達するので、非常に危険でなんというか男くさい技術なのである。
 その回路に至っては、これはもう哲学体系と比すべきシステムであって、ちょっとやそっとのトウシロウでは理解不能なのである。

しかも、アナログカラーテレビは、アナログ白黒テレビと互換があった。カラー放送になったからといって、白黒テレビを白黒で見る限り買い換える必要はなかったし、カラーテレビでも白黒放送を見ることは出来た。デジタルテレビは買い換えないといけない。

 そのアナログテレビだが、あともう少しで絶滅してしまうという。複雑な思いだ。おそらく、デジタルテレビをまともに修理できる町の電気屋さんは少ないだろう。リサイクル社会と言って、リサイクル料金だけは取られるが、それよりも同じテレビを修理しつつ長く使っていける社会のほうがよほどリサイクル社会だろうに。

 と思いつつ、新しいテレビに満足している自分が悔しいのである。

※MIXI日記より転載

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